最近、とある会話のなかで「契約書も作ってくれなかったので信用できないから、その人には仕事を頼まなかった」 という方のお話を聞きました。
「うんうん、当たり前だよね」と激しく頷きつつ、思えば実際はこういう感覚の方は 少数だよなあと思いました。
契約のトラブルについてご相談を伺う際には、まず初めに「契約書ではどうなってます?」と聞くことが多いですが 、「契約書がない」というケースが大多数です。本当に。
契約書がある場合でも、中身がネットで拾っただけのような「何これ?」というレベルのものも少なくありません。
なので、内心「これだからトラブるんだよー」と、耳元にメガホンで叫びたい気分になります(笑)。
いや、冗談抜きで、契約書もないくらい約束や覚悟があやふやだから、そのトラブル起きてませんか?って話です。
これが千円二千円の話じゃなくて、数百万単位でも契約書無し、なんてことも、信じられないかもしれませんがよくあります。
ビジネスは等価交換。
売る側は「自分のどんな仕事や何の商品に対してお金をいただくのか」
そこに意識を研ぎ澄ました方がいいです。
反対に、買う側も、 「何に対して自分の大事なお金を払うのか」は、しっかり見極めた方がいい。
要は、互いにシビアな等価交換の目を持つことです。
その指針になるのが契約書なんですね。
自分のビジネスを見えるカタチにして、「コレを売ります」とコミットする「宣誓書」でもあります。
契約書がないということは、その宣誓もないといっているようなもの。
冒頭にあげた方のように、何か不信を感じられてしまうというのも無理もありませんよね。
事業者が契約するということは、自分の命のような労働力と時間をやりとりすること。そして、やはり自分の命のようなお金をお支払いすること。
そういう大事な場面では、時間とお金と手間をケチらず、ちゃんとしておくべきだと思います。
いわば、リスクヘッジのための「投資」という感覚は、近いうちに世に浸透すると確信しています。
「ウチの業界では契約書なんて作らないよ」「信用してれば契約書なんていらないよ」という変な感覚のせいで、無駄なトラブルに巻き込まれたり、泣いたりする人を、減らしたいものです。