新型コロナの感染増加により緊急事態宣言が出されましたね。
志村けんさんが亡くなり、ドリフど真ん中世代の私としては「あの志村が。。」と超ショックを受けていたのも束の間、実家の近くの台東区は永寿病院で院内感染が起こり、なんかほんとに少し先にはウォーキングデッドみたいな世界が変わる未来が来るんじゃないか、という実感が湧いてきました。
そんな中でついに緊急事態宣言。
いろんなことの自粛が始まりました。
しかし。
トラブルっていうのは緊急事態だからといって「ちょっと待ってやろう」などと自粛してくれるわけではありません。
むしろ、こういう時にこそ相談需要が増えることも多い。
この社会と個人の温度感の違い、どこかで感じたことがある、と振り返ると思い出しました。
それは、2011年3月の東日本大震災のこと。
当時埼玉で勤務していた私は、3月11日のあの大地震を、浦和の古びたカフェで迎えました。
ちょうど抱えていた刑事事件の本人尋問が終わり、ほっとしていたところに同期のOちゃんとばったり会って、「お茶でもしよう」となってコーヒー飲んでたんです。
そこへグラグラっとすごい揺れがきました。
そのカフェ(というか喫茶店)は2階だったんですが、かつてない揺れに、びびってテーブルの下に同期と2人で頭を突っ込みました。
周りのお客さんも「なにこれ!」となったり、しばらく街も騒然としたものの、まだその時は、その日の夕方、銀座でお寿司を食べに行く予定があり、「何時に浦和を出れば間に合うかな?」なんて考えていました。
結局その日は銀座で寿司どころか帰宅困難になり、そのあと原発事故で長く被害が続いたのはご承知のとおりです。
長い前置きでしたが、「人のトラブルは一時停止できない」というのはその震災直後のこと。
震災は金曜日だったんですよね。その週明け(だったと思いますが)のある日、すごく長く交渉していた離婚の協議がようやくまとまり、公証役場で公正証書をつくるという期日が入っていたのでした。
「公証役場での離婚公正証書作成」のためには、基本、両当事者の同席で行われます。弁護士がついている場合は弁護士も付き添いのような形で同席します。
もちろん公証人も同席。
なので、割と関係者が複数関わるんです。
ちょうど原子炉建屋が爆発して毎時何ベクレルの放射性物質が風に乗り、関東でも検出されている。それこそ今と同じように屋内退避が必要だ、とみんなが刻々と起きる事態に緊迫していた頃。
まだまだ若手だった私は、「いやー、こんな時だから関係者の誰かしら公正証書作成は延期しようよ」というかもしれないなと80%くらい思っていました。
しかし、結果ちゃんと予定どおり公正証書作成は終わったのです。
私の依頼者も相手方も、苦労して話し合いを重ねてようやくこぎつけた決着のとき。
最後はみんな、ここで決めたい!と思っていました。
その時から、「人のトラブルはたとえ社会で何があっても一時停止しないのだ」というのを確信しました。
お客さんの近くで関われば関わるほど、「今世の中はもっと大変なことになっているからあなたの事件対応は一時停止させてね」なんて簡単にはとても言えないんです。
トラブルに関わる仕事っていうのはそういうもの。
とにかくできるところまで歩みを止めないでやっていきます。
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