宮迫さん、田村亮さんの会見を見ました。
仕事柄、「泣いて反省する人」に接する機会が比較的多くあるので、「泣いている」とか「反省と言っている」だけでは簡単に心を動かされません。
それだけで心を動かしてはならない、とトレーニングされている、という感じです。
しかし、今回の2人の会見には思わず見入ってしまいました。
テレビの人気者で、これまでキラキラして面白いところばかり見せてきた人たちが、こんなに憔悴して泣いている。
まるで、中学時代のクラスの人気者の男子がとんでもないことをやらかして先生に怒られて泣いているのをはじめて見てびっくりした、というような。
なんか身近な人が泣いている、という気持ちになるくらい、多くの人の心を動かす映像だったんじゃないかと思います。
以前、弁護会の民事介入暴力対策委員会に入っていて、企業の責任者講習を行ったこともあるので、今回の闇営業問題、どうなるんだろう、と思ってきました。
(「民暴(みんぼう)委員」というのは、弁護士の中で、反社会的勢力から被害を受けている市民や企業からの相談を受けたり、警察などと連携して反社会的勢力とたたかう方法を勉強したり、市民の皆さんに伝えたり、という活動をしている人たちのことです。)
今回の件で、闇営業をしてしまった芸人さん自身、「個人事業主」(多くは吉本興業から請負や業務委託を受けているという形式なのだろうと思われますのでこう書きます)として、仕事の選び方、付き合う人の選び方に認識の甘いところがあったのは事実。
とりわけ「人気者」の芸人さんたちは、自分の影響力をふまえた振る舞いをすべきだったのに、そこについての脇の甘さがあったことは否定できないと思います。
実はそれくらい、反社会的勢力の人って意識しないうちに近くにいるんです。
「そういう人たちと付き合うのを徹底排除しよう」というのが今の法律や条例の考え方です。
社会みんなで反社被害をなくしていこう。
だからそのためにみんなで反社と付き合わないようにしよう。
もしあなたが「付き合っている」と見られるだけで一夜にして社会的信用を失いますよ、だから。。。本当に気をつけてね!という仕組みなのです。
今回の宮迫さんをはじめとする人気芸人さんの例がまさにこれ。
この問題、世の中では「はじめのところで金銭授受についてウソをついた」というところがクローズアップされています。
でも、今回の問題の本質は、反社対応に関する知識が個人まで行き渡っていない、ということなのだと思います。
企業側も同じ。
吉本興業側も、所属芸人さんとの取引形態が何か判然としないところではありますが、少なくとも請負とか業務委託契約をして、芸人さんの売り上げからマネージメント料を利益として受け取っている関係。
しかも芸人さんは企業の顔にもなる存在。
そうであれば、事前に、所属芸人さんが反社会的勢力と「うっかり」つながりを持たないような体制を整える必要があったと思うのです。
会社の中におかれるべき反社対応責任者が、所属芸人の教育をする、というのはもちろん。
芸人さん個人の判断で取引をさせることになる反社リスクの高い闇営業、直営業は禁止すること。
闇(直)営業がないと食えない芸人がいる、というならば、契約体系そのものを変えて最低賃金保証をする。
そういう仕組みを作っておらず、結果的に闇営業で反社との関わりを疑わせてしまったのだから、企業の方にも少なくとも社会的責任があるのです。
では、もしも事前準備が足らず、今回のように問題がおきてしまったならばどうしたらいいか。
こういう問題は、私も企業のお客様からしばしば相談されます。 先日も全く違う事例ですがとある企業から相談されました。
私のアドバイスはコレ。
「問題を把握した段階で速やかに調査して原因を分析し報告をする。そして再発防止のための方法を取る」
事実を隠蔽しようとするのが最悪の手なのです。
なんなら、その調査内容と再発防止策をホームページに掲載して、企業のクリーンな運営を社会にコミットしたって良い。
そうすれば、その事象を企業だけでなく社会の財産にできるかもしれない。
だから、今回も、吉本興業側は、金銭授受について把握していた内容を細かく発表するのがベストだったのだと思います。
一方の会見だけしか見ていないので吉本興業側が本当に隠蔽しようとしたのかはわかりません。
吉本興業側にも弁護士がついていたようなので、事態を知りながら明らかにしないという悪手を取るのか?正直同業者として、にわかには信じられません。
しかも、亮さんが涙ながらに話していた、弁護士名の「引退か解除かどちらかを選べという書面が届いた」という証言にも驚きました。どういう法的構成でそんな二択になるのかさっぱりわからない。
今日22日に吉本興業側の会見があるようなので、そのあたりも注意して聞いてみたいと思います。
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