弁護士目線で考えること

場所の記憶、人の記憶。

とある事件の裁判で福島県へ。

新幹線の止まる新白河駅から在来線の駅一つはなれたところにある福島地裁白河支部。

駅前にタクシーもいない。

どうしたものかなーと思っていたら、お客さまの方から、電話で「先生、いいよ俺、駅まで車で迎えに行きますよー」といってくださったので、お言葉に甘えました。

無事、裁判所で手続きが終わったあと、「先生、お昼まだだよね?白河ラーメン食べてきます?」と土地の優しい言葉遣いで誘ってくれました。

長い間、彼の「代理人」でしたので、本人よりも本人のことをよく知り、伝えていくべき役割を担ってきました。

そのために何度も何度も電話で事情を聞いたり、資料をお願いしたり、きっと大変だったと思うのですが、嫌な顔をせず対応してくれました。

ここが美味いんだよ、と言って案内してくれた店の白河ラーメンは、スッキリした醤油のスープに手打ちの平打ち、不揃いの縮れ麺が浮かぶ、優しくてとても美味しい味でした。

彼はきっと、これまでも、彼の時間を暮らす中、時折このラーメンを食べて、頑張っているんだろうな、と想像しました。

その後、次の新幹線の時間まで1時間ばかりあったので、「白河を案内しますよ」といって、秋晴れの紅葉が美しいお城や公園を案内してくれました。

ほんのひととき、彼が生きる時間や空間を共有させてもらったあと、帰りの新幹線の駅へ。

笑顔で手を振って見送ってくれたお顔に、お元気で!と手を振りかえして別れました。

場所の記憶は、そこで関わった人と重なって心に残ります。

白河は優しくて温かい場所です。

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